2012年12月31日月曜日

情報は収集力よりも発信&公開力でしょ。


photo credit: Jason Michael via photopin cc

IT系ブロガーjniinoさんのこちらの記事が話題になっています。


結論から言えば「ブログでメシ」が食えています。2012年の年間売上は約836万円。2011年度の売上が約480万円なので、前年比約74%の増益という結果です。

さらにいうと、ブログ以外にフリーランスとしての収入もあるそうなので、このご時世ではかなりの好業績を残せていると言えそうですね。

そして、彼の場合はブログの内容とフリーランス活動が関連していますので、相互に価値が高め合えるという状態になっています。

あちらを立てればこちらが立たず的なトレードオフな関係にないので、人的、時間的リソースが限られている個人クリエイターにとっては、理想的な仕組みを作られていると思います。

ところで、jniinoさんがブログで成功しているということ以外に注目した点があります。

それは彼の徹底した情報発信と公開力です。自分の収入明細はもちろん、どうやって収益を得ているかということをかなりのレベルでオープンにしています。

詳細は彼の本体のブログ記事をお読み下さい。

※コンテンツ作りのノウハウや販売戦略は、分野を跨いで共通化できる事が多いので、他分野の個人クリエイターにとっても必読の記事です。

ここまでやると、もはや従来の競争戦略とか参入障壁の構築とかそんなものを超越してしまっているようにみえます。

しかし、今後ウェブが更に普及していく社会では、こういったスタイルや姿勢が主流になってくる予感がしています。新しいタイプのクリエイターにとってむしろ重視すべき戦略の一つなのかもしれません。

例えば、自分の考えや現況を積極的に発信、公開してゆくことでウェブ上で関連する議論が盛り上がり、その結果他の人々の異なる視点や最新の情報に触れることができたりします。この循環は自分が実施している戦略の善し悪しを見極める為にはかなり有益ですよね。

実際、jniinoさんの記事はTwitterや他のブログなどで様々な視点で語られています。本人には相当の知的価値がフィードバックされているはずです。

従って、これからのウェブを活用した展開においては、これまでのビジネスで重視されてきたような情報収集といった能力よりも、むしろ話題になるような情報の発信&公開力といったスキルがより求められてくるのではないかと思うのです。これ、かなり難易度高いですが・・・

というわけで、皆で議論を盛り上げていける場づくりを目指して、個人クリエイターの皆さんも独自の情報やノウハウをじゃんじゃん発信し、先行者や他分野の人達にも独自の考え方などを積極的に投げかけてみてはどうでしょうか。
 
スタンディングアウトでも、このようなトレンドにアンテナを貼り積極的に取り上げてゆきたいと思います。

あ、まずは私自身率先して事例をつくっていかないとですねー。

合い言葉は「STANDING OUT from the crowd」

2012年12月29日土曜日

個人の取り得る戦略を考える



photo creditBFLVvia photopin cc
 
 今年は、本業も含めて「戦略」というものを改めて見直す一年でした。その影響もあって戦略関連の書籍を何冊か読み返す機会を得ました。まぁ、わかったつもりでいたけど全然覚えていない自分というヤツの再発見が最大の収穫だったりました。残念です。

学んだ事は何度も何度も実践してみて自分のものにして行かなくちゃ、本当の血や肉になってこないんですね。「あの話題の本読んだよ」といったってそんなもんです。

 それでも、読み返してみた本の中で個人クリエイターにも参考になりそうなものがあったので軽くご紹介しておきたいと思います。それは、ガチの芸術家、村上隆氏の「芸術起業論」です。2006年に発行された年に読んだのですが、パンチのある言葉の数々が久々に蘇ってきました。

 村上さんがおっしゃっていることの中で、本当にそうだよなと思うのは

 「芸術家の目的は作品の換金にある」

という部分。やはり全てはここに行き着きますよね。飯を食うとはそう言う事です。

 そして、その目的を達成して行く為に

 「世界基準の戦略が必要だ」

と戦略の重要性を訴えています。芸術作品はそもそも欧米を中心とした世界で売れなきゃ満足できる利益など獲得できないよ、と。そういった厳しいマーケットで戦っているという理解が前提です。そういう意味でもこの本はまさに芸術家の為の戦略本と言えます。

 芸術っていうとなんとなくスノビッシュでアカデミックな雰囲気が漂う日本において、こうやってストレートに言い切るところは見習う必要があるなと思います。

 芸術家である村上さんが書いたこの本は、ビジネスそのものの戦略を考える上でも多くの新鮮な気づきをくれました。一方、企業活動の為に書かれた戦略やマーケティング論等も、個人のクリエイターが活用できる考え方やフレームワークが多いよなぁと感じています。

 つまり、あるマーケットで競争し顧客に価値を提供して利益をあげてゆく、という目的の達成には企業も個人も戦略の立て方に共通する部分も多いということなのでしょう。

 というわけで、村上さんのように”独自の考え方”で成功している人や企業の事例などを研究して、個人クリエイター向けの戦略にあてはめてみる作業は、関連情報の発信と併せてスタンディングアウトでも積極的にとりいれていきたいと考えています。



2012年12月16日日曜日

アジアのクラウドソーシング市場:3つの関心事


photo credit: Genista via photopin cc

ローンチ当初から気になっているブログ、「海外クラウドソーシング情報」に注目すべき記事が紹介されていました。

アジアにおけるクラウドソーシングの5つの事実

元記事はTechCrunchの 「Crowdsourcing Is Booming In Asia」。

STANDING OUTは、決してクラウドソーシング分野に特化しているわけではないですが、それでもこれから伸張するマーケットであり、個人クリエイターが経済的自立を目指す為に必要なプラットフォームの一つであることは間違いないと考えていますので、こちらはおすすめのブログであり記事です。

さて、この記事から私が受けたインスピレーションは3つあります。

1)「STANDING OUT from the crowd.」というコンセプトは増々重要になる。
→クラウドソーシングマーケットには、欧米に加えて中国・インドその他のアジアエリアからも多くのプレイヤーが参入してくる、まさしくレッドオーシャン化まっしぐらの状況と言えます。しかし同時にそういった地域からの需要の拡大も予想されます。従って、戦い方によってはポジションを確立できる余地がまだまだあります。・・・それどころかとてつもなく存在していると考えています。

2)個人クリエイターは国境を超えた競争を前提に考える必要がある。
→記事中では、英語の話者の60%がアジアに集中(インド、パキスタン、フィリピン・・・)と紹介されています。彼らも含めて世界のオンラインベースの仕事は英語が軸になっているのが現状です。つまり英語に対応できれば、世界中からの需要を刈り取る事ができる機会を得る事ができます。
※因に、日本語で世界にデザインを発注できる「designclue」というサービスもあったりします。これはつまり日本国内の需要を世界に解放しているわけですね。こういう動きも加速してきますし、個人クリエイターとしては海外需要も積極的に取り込みたいところです。

3)複数のスペシャリティの組み合わせが有効になってくる。
→クラウドソーシングでは、グラフィックデザイン、写真、テキストなどクリエイティビティの分野での浸透が進んでいて、それらの感性は共通する場合が多そうです。重なるテクニックを丁寧に深堀し、関連スキルを身につけていくことで複合的な業務に対応できるようになります。また、これらに加えて例えばプログラミングスキルも備えたハイブリッドなスキルの持ち主がどんどん出てくる予感がビシバシしています。
例えばストックフォト市場には、グラフィックデザイナーでありながら、そのデザインの感性を活かしたクリエイターの参入などが既に始まっています。

てな感じです。世界の潮流を意識するとなんだか焦りを感じますが、マーケットはまだ緒についたばかり。この潮流をしっかり追っていきたいと思います。今後も精進してがんばります。

合い言葉は「STANDING OUT from the crowd.

2012年12月11日火曜日

(マーケット)6-12歳児達の可能性

「所有しないスタイルへ」メアリー・ミーカーの動向レポートというWIREDのインターネット市場のトレンドに関する記事が興味深かかったので紹介します。

※記事中のリンクからは詳細なデータ元が参照されていますので、こちらのスライドショーもご覧下さい。(英語)




特にスマートフォン/タブレット普及状況には要注目です。

記事中でも指摘されていますが、「現在世界で50億人といわれる携帯電話使用者のうち、スマートフォン使用者はわずか10億人である」とのことです。このデータから見ても関連市場はまだまだ始まったばかりだと言えます。

この結果は、STANDING OUTが対象にする個人クリエイターが、超成長分野でビジネスをしていることを証明してくれます。なぜなら、今までよりさらに高画質な写真やイラスト、動画、本、音楽等の需要は増えてくるでしょうし、新たなユーザーの増加に伴って、コンテンツのニーズも大きく変化してくると思われるからです。

その上、そういったコンテンツ(あるいはスキル)を個人が販売できるプラットフォームがどんどん立ち上がってくるでしょうから、マネタイズの機会も飛躍的に増加してくるでしょう。

手前味噌ですが、勿論PIXTAの様なストックフォトを中心としたストックコンテンツ系マーケットプレイスはメインプレイヤーの一角を担うはずです。

また、この記事では、「米国の6−12歳児の約半数はクリスマスプレゼントにこの2つのデバイスを欲しがっている」と指摘しています。確かにウチの娘(4歳)なんかを見てもiPhoneへの興味は凄まじいものがあります。この辺りもモバル関連市場のポテンシャルを感じさせます。

そして、忘れてはならないのは、彼/彼女らは新たな消費者であると同時に、新規参入のクリエイター予備軍にもなりうるということです。ネットへの入り口がモバイルになる世代。どのようなクリエイティビティを発揮してくれるのか、今からすっごく楽しみです。

これからは、ちびっ子に学ぶことも多くなりそうですね。

(お詫び)
前回エントリーの「戦略・戦略・戦略」ですが、推敲版を保存せずに下書きをそのままアップしてしまった事に気付きました。ですので同エントリーを一旦取り下げました。意味不明な文章を掲載してしまいどうもすみませんでした。また、改めて書き直したいと思います。

2012年12月1日土曜日

『Standing out from the crowd.』



photo credit: Mommyof4Ruggies via photopin cc

世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」

という「Googleの使命」が着々と進行しているようです。

情報格差の縮小


「総務省:平成23年 通信利用動向調査」より

これまでは人が知らない情報を持っていることで優位性を保てた時代でした。「持つものと持たざるもの」論が有効だったんですね。しかしこのGoogleが実現していく社会では、個人間の情報格差というものが限りなく縮小し、ある部分ではそういった価値観は急速に意味を失ってくることになります。インターネット普及率の上昇もその流れを加速させるでしょう。

いよいよ、戦国時代さながらの乱世の到来でしょうか。いいですねぇ、下克上。

プロ・アマ逆転現象
実際、僕が携わっているPIXTAという投稿型ストックフォトサービスでは、既にプロとアマチュアカメラマンが凌ぎを削っている興味深い場となっています。PIXTAは、従来の閉鎖的なコンテンツ供給の世界をウェブを活用して広くオープンにすることで、この業界にこれまでに存在していなかった多様なクリエイターの参加を促してきました。

その結果、プロと言われる人々よりも写真によって収益を上げているアマチュア(といってもハイアマチュア)の出現が現実となってきたのです。プロ・アマの垣根とは何だろうと考えさせられませんか?

競争形態の変化
また、ストックフォト市場に限らず、情報格差が縮小する社会では「どこどこの市場は儲かるかもよ」といった情報も瞬時に共有されてしまいます。そこが魅力的な市場であればあるほど新規のプレイヤーがごぞって参入してきて、先ほどまで静かな青い海だったものがあっというまにレッドオーシャンへと変わって行ってしまうのです。

例えば、下記のような個人が主要プレイヤーである市場では、既に変化が始まっていると考えています。

カメラマンストックフォト カメラ等の進化)
イラストレーター(ストックフォト ソフトウェアの進化)
作家電子書籍 セルフパブリッシング)
ミュージシャンDTM)
各種フリーランスクラウドソーシング
・などなど・・・
※( )内はその市場の変化に関与する潮流

ふむふむ。こうやって見てみると、ウェブの普及がその市場における戦い方を変えてしまう役目を担っていると改めて認識できますよね。

とすると、このような状況下で、個人のクリエイターが突出した存在になっていくには一体どのような戦略を描けば良いのでしょうか。

既に例示しましたが「投稿型(クラウド型)のストックフォト」という分野はこれからのカメラマンの収益構造に何らかの変化を与えるのは確実です。儲け方が変われば取りうる戦略も修正していかなくてはならないでしょう。しかし変化はチャンス!です。

このブログについて
このブログでは、上記にあげたような個人クリエイターが活躍するマーケットに注目して、個人が取り得る競争の方法についてあれこれと思う所を書いていこうと考えています。

僕自身もまだまだ勉強しなくてはならないことが多いですし、現時点(2012/12/01現在)ではひとまず試行錯誤しながら方向性を模索していきます。

どこかのクリエイターのみなさんの参考になるような、何かしらの法則の発見にでもつながったら最高だな、と祈りつつ。

合い言葉は『Standing out from the crowd.』 

Coming soon!


photo credit: Shreyans Bhansali via photopin cc

間もなく開店です。